・VAIO P(VGN-P70H/R)のHDDをSSDに換装する
追加:2014.10.04
当ページのように、mSATA-ZIF変換アダプタを使用しWindows7/8/10を導入しようとした場合、インストール中にハングアップし、OSのインストールが行えない場合があります。
この現象は、SSDを認識したWindows7/8/10のインストーラーが、初期ファイルコピー前のフォーマット時にSSDに対してTrimコマンドを発行するのですが、変換アダプタを使用しているSSDの場合、Trimコマンドに対応できず、その段階でハングアップしてしまいます。
この症状を回避するには、アクロバティックな方法になりますが、下記の手順で回避が可能です。
1.WindowsXPのセットアップディスクで起動、パーティションを作成/選択・フォーマットを行います。
2.コピーするファイル一覧を作成しています、の段階で電源を切ります。
3.Windows7/8/10をインストールします。(パーティション操作を行うとハングアップします、その場合は1からやり直し)
4.OSのインストールが完了したら、直ちにコマンドプロンプトから「fsutil behavior set DisableDeleteNotify 1」を実行して、OSでのTrimコマンドを切ります。(標準状態だとごみ箱を空にするタイミングなどでもTrimコマンドが発行され、その段階でハングアップするため)
ソニーのVAIO P1(スペック | type P | 製品情報 | 個人向け | VAIOパーソナルコンピューター | ソニー)。ポケットに入るノートパソコンという事で、発表当時爆発的な話題になり、発売後はそのボディサイズと美麗な液晶、そして低いパフォーマンスと勝手に激減するバッテリで話題になったノートPCです。
自分も一時期使っていましたが、結局別のノートに買い替えることになり手放した経緯があるのですが、つい先日ご縁があり、ハードディスクがクラッシュしてるガーネットレッドモデルをジャンク扱いで入手しました。
その後、ハードディスクの修理交換を行いましたが、やはり1.8インチハードディスクのパフォーマンスの悪さ、そしてなにより酒の勢いで部材を発注してしまいました。そこで、今回ハードディスクをSSD化し、パフォーマンスの向上と耐衝撃性の向上を模索します。
・スペック | type P | 製品情報 | 個人向け | VAIOパーソナルコンピューター | ソニー(VGN-P70H/R) 店頭販売モデル
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2chLOOX Uスレで、MSATA2ZIF(=PA6007)とCT128M4SSD3を装着したら接触してショート破壊したという報告があったので、MSATA2ZIF+PX-128M5Mが問題なく装着できるか確認します。そういった理由もあり、また差額も1000円前後でしたので、今回CT128M4SSD3は回避することになりました。
ギリギリ問題ない…かな?接触してる様子はありませんが、個体差がある可能性もあるので、念のため確認した方が良いと思います。
それではVAIO Pの分解作業を開始します。まずバッテリ・SD・MSのダミーカードを取り外します。
本体裏・2か所のネジを外す。
キーボード下部・2か所のゴム足を取り、ネジを外します。ゴム足は接着剤で止まっていて、今後も再利用するので極力丁寧に取り除きましょう。
キーボードを開けたところ。キーボードはスピーカー部分から下方向にずらすように少しずつ力をかけると取り外せます。下部にフレキが2か所繋がっていますが、自分は取り外さずに作業を行いました。断線しないように注意してください。
ネジを12個取ります。ネジは場所により形状が違うので覚えておきましょう。
本体を裏返し、下部ケースを取り外します。
今回は、まず最初に両脇のヒンジ横から外し、次に上写真の2か所にツメを外してから取り外しました。
カバーが外れました。
ここにハードディスクがあります。
本体につながってるIDEケーブルを取り外します。
4か所のゴム足ごとハードディスクを持ち上げ取り外します。
アルミ+ビニールで出来たハードディスクケースからハードディスクを取り外します。
ハードディスクが取り外されました。
ケーブルを取り外します。コネクタの黒い部分を持ち上げれば力をかけずにケーブルは抜けます。
MSATA2ZIFにケーブルを装着します。最初にケーブル装着し、その後にMSATA2ZIFにSSDを固定した方が作業は楽だと思います。
SSDを元々のHDDケースに入れて元の場所に戻します。不安が残る方は、隙間に絶縁系のものを詰めるなり、テープで固定するなどの対応を。
その後、分解と逆の手順で組み立てます。
正常に認識されている事を確認しました。
その後、WindowsXPを導入しDiskMarkでベンチマークをとった結果がこちら。PX-128M5MはMSATAなのに500Mを超える速度と長寿命がウリですが、MSATAからZIF IDEに変換させている為、1/5以下に速度が落ち込んでいます。それでも元々の1.8インチHDDと比較すると雲泥の体感速度にはなりますが、現代的なパフォーマンスが得られるかと言われると疑問符は残ります。
この世代のモバイルノートは、Willcom D4やLOOX U、またVAIO TZなど個性的で魅力的な機種が多く、そういったノートの延命は面白いのですが、投資する金額と手間、そして得られるパフォーマンスを考えると冷静に考えた方が良いのではないかと思います。
・SSD化したVAIO P(VGN-P70H/R)その後
しばらく煮詰まってました。
SSD化した後、WindowsXPでのSSDベンチマークを掲載したと思います。何故現実的な選択肢である7ではなく、XPでの動作検証だったのか?実のところ言えば、当初Windows7の導入に詰まりました。途中で止まるの。Trimまわりがどうこう、という話もあったのですが、詳細の検証をする前にXPのディスクから起動→セットアップ中にキャンセル→7のディスクから起動で環境構築、その後は” fsutil behavior set DisableDeleteNotify 1 ”でTrimを無効にした状態で普通に動作しています。せっかくSSD化しても、ここで煮詰まる可能性が否定できません。
なお、個人的意見ですが、VAIO Pなどのこの世代のAtom機にSSD + Windows7を導入するアップグレードは、やはりオススメはできません。流石のSSD、インストールする事で実用から常用レベルにはなりますが、それでも現代的なパフォーマンスとは思えない。Windows Updateで10時間とか待たされると流石に辛い…。
あと、VAIO Pはバッテリが電源を切っていたとしても異常消費する”おもらし”と言われる現象があります。自分も過去にVAIO Pを持っていた時、この 持病が発生して一晩放置しただけでバッテリがすっからかんになっている事がありました。 このクリティカルな持病ですが、BIOSをHackして隠し項目を出して、スタンバイ時の挙動設定をいじる事で、お漏らしが劇的に改善されるという話があります。
→n-labo Technologies: 2010年7月
→ VAIO Type P の BIOS を改造して隠し項目を出してみる – digital10ve –
→お漏らし対策から出た・・・VAIO P BIOS 改造 パッチ・・・: n-labo Technologies
→電源OFFでのバッテリー消費を抑えられる?:VAIO Type P hack:So-netブログ
ちなみにBIOS設定画面(改造済み)の「RTC on S4 Wakeup」をDisabielにするだけで、消耗はぐっと減ると思います。これ使ってワンセグの為の自動パワーオンしているはずですから。
あと「ワンセグなんてつかわねー」って人はMini PCI Express自体をDisableにするのも良いかもしれません(笑)
ちなみに変更点は以下のとおり.
OSで電源オプションの詳細設定,スリープ→スリープ解除タイマーの許可を無効に
BIOSで
FACP – RTC S4 Wakeup: Disabled
PCI Clock Run: Enabled
Quickly S4 Resume: DisabledPCI Express Root Port 1をDisabledにする大技も人によってはありかも.
…という事で、RTC on S4 Wakeupなどの設定を切って検証してみました。8時間経過してもバッテリの消費は63%→53%と、過去の記憶と比較すると劇的に改善したように思いますそれでも10%は減ってるし、最新世代の「スタンバイも30日間は持つ」をウリにした最新ノートと比較すると厳しいは厳しいですね。ちなみに次の世代のVAIO Pでは改善されてるはず。
追記)
Windows10のテクニカルプレビュー版を、SONY VAIO type P (VGN-P70H/R AtomZ520 HDD→SSDに変換アダプタを使って自力換装済)にインストールしてみました。
ちなみに”VAIO P(VGN-P70H/R)のHDDをSSDに換装する ≪ 変人窟過去ログ倉庫(HJKLOG)“こちらの記事中でも書いてありますが、mSATA→ZIF変換でSSDを換装している場合、Windows7/8/10のセットアップ時、Trimコマンド発行のタイミングでフリーズします。回避方法として、「Windows7/8/10のインストーラーにディスクをフォーマットさせない」というものがありますので、コピー開始のタイミングでどうしてもハングアップする人はお試しください。
Aeroが動くグラフィックドライバから、VAIO内蔵の無線LANまで含め、ほぼ全てのドライバをWindows10が初期状態で持っていました。とはいえデバイスマネージャーで確認すると2つばかり不明なデバイスが出現しており、Windows10導入直後ではスタンバイが使えません。(恐らく1つはワンセグではないかと思われる)
この不明なデバイスの正体探索や、適合ドライバ探しなども含め、後々しっかりと検証してみようかとは思っておりますが、Windows10をクリーンインストール+WindowsUpdateを全て終わらせた状態での体感速度としては、サクサク快適なWindows10ライフ!と断言はし辛い程度の感覚でした。とはいえ初期状態のHDD+Vista+標準リカバリ状態よりは圧倒的に快適ですし、 諸々のチューニングが進めば、Windows7以上に快適になる可能性があるかもしれません。
とはいえBayTrail-TのAtomを搭載したWindowsタブレット(Miix2 8など)が2万円強で購入できる現状、VAIO type Pの延命は実用性というよりは趣味の範疇でしょうし、どこまで予算と手間を投入するか…というのは難しい問題かもしれません。
関連:
・SONY VAIO type P その12・液晶パネル部分解: わなざう
・LOOX U/C30 へ mSATA SSD PX-128M5M を組み込む – ミニッツの雑記帳