先日のJetSta搭乗記から続きといえば続きの話。
11月12日朝、自分は長野滞在の予定を全て終え滞在先から松本に向かっていました。
本来であれば、栃木で行われたサッカーの試合を見た後に宇都宮から成田空港経由で戻る予定だったのですが、Jetstarから飛行機のフライト時間が変更になりしたという通知。出発時間が2時間以上早くなり、朝の7時過ぎには成田空港に到着しないと搭乗が厳しい状態になってしまいました。
その後いろいろ調整したのですがどう頑張っても成田空港に到着できない。最終的にカスタマーに連絡して事情を話した所今回はJetStar側の時刻変更が原因なのでキャンセル&全額返金という事になりまして、長野から長崎に帰る移動ルートが決まっていなかったのです。
とりあえず松本までは向かってそこから移動ルートに関しては考えよう…という状況だったのですが、ここで悪い心が芽生える。
こんな画像を作ってツイートしてみたわけだ。誕生日の翌々日だぞ?うちのフォロワーさんはみんな優しいから無理せず飛行機や新幹線でお帰り?って言ってくれると信じて。
長野最後のごはんは梓川にある燕黒さんで燕三条ラーメン。
いやむしろ「もう1泊しちゃいなよ」と言われたら白骨温泉だねガハハ!と思いつつ、それでは皆様のご意見を見てみる事に。
「バカじゃないの」
期待を裏切らないフォロワーさんほんといつもサンキューな!呪われろ!
これより1,111キロ。バスで帰ります。
まずは松本インターバス乗り場まで移動してチケット購入。
松本から名古屋まではおおよそ200キロ3時間半、料金は閑散期料金で2,800円。高速バスとしては新宿~松本とほぼ同じ、よくあるミドルクラスの相手になります。
ほぼ定刻に松本インターのりばを発車。これから向かう名古屋は、普段の松本市民の方々にとっては目的地かもしれませんが今回の僕にとってはある意味スタート地点なわけです。パドックに向かう馬の気分とも申しましょうか。つらい。
途中のSA/PA休憩は特にキツくなくてもしっかり降りる。意味もなくサービスエリアに立ち寄りたくなりますし、普段買わないような串カツとかお土産とか買っちゃいますよね♪
…この”意味もなくサービスエリアで買い物する”というのがとても幸せな行為である事を知るのは数時間後の話である。
定刻から若干遅れて名古屋にある名鉄バスセンターに到着、バスを降車したらまずは真っすぐ長崎行きのチケット確保に向かいます。実は移動中に予約したりしなかったので、万が一空席がなかった場合モタモタしていたら時間帯的に最悪詰みます。
ですよねー。そんなぽこじゃが売り切れるくらい大人気路線であれば廃止になんかならんわ…という話。
そう。今回乗車する名古屋~長崎の深夜バスグラバー号は、11月いっぱいで廃止になるのです。
このグラバー号はかつては日本最長距離を走るバスとしてデビューし、キングオブ深夜バスこと福岡~東京はかた号の登場後も片道904キロメートルを走破する日本第二位の深夜バスとして君臨していたバスでした。(参考:はかた号…1097キロ グラバー号…904キロ ラフォーレ号…720キロ)
かつては臨時の増発車両もたびたび運行される人気路線であり、長崎と名古屋を直結しなおかつ現地で朝から動けるという非常に便利なバスでしたが、LCCや割安航空便の対等で、移動時間と金額を考えたら長距離深夜バスの優位性はだいぶ失われてしまいました。客足の減少に歯止めがかからず、ついに2018年の11月で運行終了となった次第です。
天井に設置されてる案内板も、長崎の所がシールになっているのは悲しいですね。
そんなわけでバカ野郎共にハメられたぜ!という感覚もありますが、それ以上に今回のグラバー号はいい機会となりそうです。旅は楽しまなきゃ!
それじゃバスまで時間ありますし、せっかくだったら名古屋の街中に遊びに行きますか!
田舎者特有の「名古屋きたらとりあえず大須行っとくか」という安直な発想!
深夜バスで死なないようにお参りしてきました。
大須でじゃんぱらに行ったりオタショップを巡ったりブラブラと散策していたのですが
俺、デスクトップパソコンを買うの巻。いやあ…ツクモ行ったら中古が安くて………値札を見てうんうん唸っていたらご相談にも乗ってもらっちゃって……お店の漢気に対して消費者ができる事なんて「買います!」という一言しかないっしょ。これでSandyBridgeおじさんは卒業だ!
なお「これからバスで長崎まで持って帰ります」といったら「は?」と言われしまった。俺でも同じリアクションとるわ。
その後は大須から路線バスを使って駅方面まで戻る。渋滞で動かない中、バスの真横にバニラトラックが居て正直気が狂うかと思った。
名鉄バスセンターに行く前にちょっと寄り道、JR名古屋駅で腹ごしらえします。
色々言われてるけど俺は新幹線ホームより在来線ホームの方が好きだなー。
名鉄バスセンターに戻ってきました。コインロッカーに預けてた荷物も回収した、飲み物や食い物も買い込んだ、あとはいつもの勝負ジャージに着替えるだけ!バスや新幹線は余裕、飛行機の国際線だってこの勝負ジャージで行けるぜ!と思いつつオーポンしてみたら
なんでや…。心当たりに電話すると「たびさんがこのユニを着て山雅を応援した時は1度も負けなかったというか全ての試合に勝ち続けた、だから優勝&J1昇格がかかる週末の最終戦はこれを着て応援してくれ!!!」という事でした。ガチやん…。
その後待合室でのんびりしてると、ジャージ着て臨戦態勢・明らかにお前慣れてるだろオーラを出していたせいかご年配の二人組に話かけられる。なんでも久しぶりに深夜バスを使って長崎に行くので不安だとか。飲み物は多めに、途中で補給できない事もあるから食べ物も買っておいた方がいい…みたいな事を言いつつ色々と昔話に花を咲かせる事に。ブルートレインが無くなったのは本当に残念ですね…というところで
グラバー号さんの登場。
やっぱり深夜バスはドキドキするな!ワクワクするな!でもいざ乗ったら「もう半年くらいは乗りたくねえ」って思うんだわ。ふしぎ!!!
今夜の寝床はこのシートになります。頼むぜ相棒よろしくな!
発車。それではここから904キロの旅を楽しみましょう!
MCタイムスタート! 「名鉄名古屋バスセンターを出まして、名古屋高速、東名阪自動車道、新名神自動車道、名神高速道路、中国自動車道路、山陽自動車道路、再び中国自動車道路、関門海峡を渡りまして九州自動車道路、長崎自動車道路、多良見ICからは長崎バイパスを通りまして長崎に向かいます」長いわ!
そしてここでお~いお茶(250ml)が配給されました。これで明日核戦争が起きても飢え死にする事はありますまい!
流れる夜景を見ながら。名古屋も日本が誇る大都会だと思うんですが、東京や大阪と比べて独特な雰囲気がありますよね…
とか思っていたら気が付けば結構移動してた。残り900キロメートルを切りましたのでゴールは目前というやつです。
そしてトイレからただよってくるウンコの香り。誰かトイレをちゃんと使ってないだろー!
気が付けばもう京都だ…。というわけで京都府にある桂川PAで今日最初で最後の休憩タイム。
「バス駐車スペースが満車でしたのでこちらに停車いたします、休憩は10分間です」900㎞を超える冒険の夜で今宵トイレ食事ストレッチなどに与えられた時間はわずか600秒、管理型の深夜バスなので僕たちは常に臨戦態勢でいなくてはいけません。
しかし夜のサービス/パーキングエリアの雰囲気っていいですよねえ。今こうやって写真を見ながらテキストをぽちぽちしていますが、これだけでもまた旅したくなります。
そして肝心のパーキングエリアはこの有様。そう、パーキングエリアで休憩するがパーキングエリアが営業時間内とは限らない。休憩時間に食糧を補給しようとしていたかしまし女子3人組のステータスが混乱状態に変化を遂げていました。深夜バスというのは準備無き者に対してはただただ過酷なのであります。
自分は元気と健康の秘訣・もりもり体操をして車内に戻りました。良かったちゃんと食糧持ち込んでおいて。
そしてPA休憩から戻ったら車内は運転手さん達の手でカーテンが敷かれておりバスが深夜モードになっていました。「予定通り出発致します、この後21:50に消灯いたしますのでお休みの準備をお願い致します」早すぎる消灯時間も深夜バスならではのお楽しみ…でしょうか。
ちなみに以前行われていたビデオ上映などのサービスはなくなっていました、スマホの普及などで暇つぶしはお客さんが勝手にやるという思想になったのかなあという気もします。以前のグラバー号では「発車直後にホワイトアウト上映開始、ラスト直前のシーンで強制終了→消灯&翌朝また最初からホワイトアウト→ラスト直前で現地到着で強制終了」といったホワイトアウト二度見の刑を喰らったのも懐かしい思い出。
とかやってるうちに消灯。
昔はここら辺にもよー遊びに来たんですわ、あの頃はまだ楽しかった。まあ昔の話ですわ…。
姫路を過ぎたからここらへんで全行程の半分かな?という感じ。
そして兵庫県を抜けようとしてる頃、真っ暗の車内で前の方から「おなかすいたよう……おなかすいたよう……」ってボソボソとした話し声がする。あぁアレだ、サービスエリアで食料を補給できなくて愕然としていた女の子たちだ……辛かろうになあ…辛かろうになあ……。
あ、僕はパン美味しいです。YES!SWEET安曇野!!!!!
…水と食料はしっかりね。あと深夜バスに乗るときはペットボトル3本買え、飲んだら1本は腰の下、1本は首の後ろだぞ。
よく辛い辛いと言われる深夜バスですが、昔と違って最近はスマホの進化が尋常ではないので深夜バスの車内であっても無限に暇がつぶせます。大抵の深夜バスには電源コンセントがありますからバッテリの心配もいりませんし、移動中の暇をつぶせるだけでも苦痛度が以前より桁違いに軽減されています。
しかしなんだかんだで深夜バスは楽しいです。長崎名古屋のグラバー号は20往復以上キングオブ深夜バスことはかた号も10往復くらいは乗ってるんですけど、いずれのバスも過酷な行程を少しでも快適に過ごして貰えるように乗務員の方が配慮してくださいますし、あの独特の空気感は人生経験値として貴重ではないでしょうか。
ふっと目が覚めたら九州入りしてた。ここまで来たらもうすぐゴールですね…と思ってまたウトウト、寝ても寝ても目的地に着かないのが深夜バスの怖い所ではありますね。
おはよーございまーす!!!5:57分、車内にあかりが戻りました!
はえーよ。
長崎県・大村湾サービスエリア到着。「本場中華街にも勝るとも劣らない本格派ちゃんぽんです」を是非ご堪の…………
ですよね………。
深夜のサービスエリアの独特の雰囲気は本当に最高。最高に「旅してる」って気分になります。
長距離ドライブの生命線もりもり体操やって車内に戻りましょう 。
大村湾まで来たら残りもう少し。
そういえば高速バスの車内トイレ……の横には夢の扉がありますよね。交代乗務員用仮眠室、そこは憧れの場所……
※参考リンク:夜行バスの仮眠室やトイレはどこ?寝心地や騒音も調べてみた! | へそが笑う日記
最初の経由地、大村インターに到着。グラバー号を楽しめるのも残り僅かとなりました……
Vファーレン長崎本拠地・諫早。この光のもう少し先にトランスコスモススタジアム長崎がございますのよ。
諫早インターでさらに人が下車。
多良見インターで長崎自動車道路から長崎バイバスに入る。名鉄名古屋バスセンターを出発して11時間、いよいよ長崎市入りだよ!
空もすっかり明るくなりました。旅の終わりだ……
そんじゃ最後はやっぱりこれ!!!!!1/6の夢旅人でしょ!!!
深夜バスに乗る機会がある人は是非この曲と一緒に旅に出てみてください。旅行中のここぞという所で再生すると、どれだけ疲れていたとしても一気にテンションを跳ね上げてくれるブースターになりますヨ!たぶん。
料金所をくぐり、朝の街へ。
停車地ごとに少しずつ人が減っていき本当に寂しくなる……11時間を超えるバス旅でしたが、乗務員さん達の卓越した技術とお心遣いで快適な旅でありましたよ……
そして長崎新地中華街のバスターミナルに到着。ああ、ついにグラバー号の旅が終わってしまった……………………………。
12時間弱を快適に運行してくれた乗務員さんにお礼。「グラバー号は青春でした、寂しくなります」「私達も寂しいですね」本当に長い間ありがとうございました……
長い間ありがとう、グラバー号。
間違いなく自分の青春を支えてくれたバスでした。人生を変えてくれたバスでした。
ありがとう。
さようなら。
という事で信州あずみのを出て22時間45分、ホームタウン長崎に帰ってきましたぞー!!!
最後に長崎新地中華街バスターミナル横にある長崎ローカルのファミレスで朝ごはんを食べてフィニッシュ、おつかれさまでした。
自分が深夜バスに言いたいことは既に語っているとして、今後もこれからどんどん鉄道やバスが廃止されていく事になるでしょう。この手の交通インフラは「あって当たり前」と思うものがいつまでも維持されるとは限りません。そして廃止/廃線になってから初めてその利便性や楽しさに気づいたとしても手遅れなのです。
まだ遠い未来の事だと信じたいですが、そのうち「深夜バス?そんなものが日本にあったんだ…」と言われる日がくるかもしれませんね。