長崎と東京を結ぶ寝台特急さくらを見送ってから3年、今一度寝台特急を見送る日が来てしまいました。
寝台特急あかつき。長崎と京都を12時間で繋ぐブルートレイン、そして長崎に残された最後の長距離列車になります。昨今の交通環境の変化と老朽化、そしてダイヤ改正の流れを受けこの春で廃止が決まり、その長崎を出る最終列車が3/14 19:47という事で当日は長崎駅に行ってきました…のですが。
いやー起きたら19時30分だったよ、絶望的すぎるだろ。
ThinkPadX40のリカバリで疲れ果てて寝落ちしていたみたいで、ふっと意識が戻ったので時計みたら1930という文字列が視界に飛び込んできて一瞬で覚醒した。あわててカメラ準備して着替えて自宅を飛び出したのが19:35でありもうだめだと思っていたんだけど金曜日の夜なのに珍しく道が空いてたので長崎駅まで徒歩+タクシーで10分ほどでつきましたとさ。
移動中のタクシーの中で「あかつきの最後ば見に行くとですよ」「私も昔はよう乗ったとですよ、うちのかみさんとも何度もあかつきで旅行しとってね…」という話で盛り上がる、そして寂しがる。やはり長崎の人間とっては「さくら」「あかつき」は非常に思い出深い汽車なのです。(JR/国鉄を”汽車”というのはいかにも生粋の長崎人。長崎人にとって”電車”とは路面電車の事なのだ)
長崎駅到着。
セレモニーの存在を今初めて知るも時すでに遅し、まあ仕方ない。
改札口の外側にも人がいっぱい。そして改札の中に目をやると…
遠目で見てもあかつきホームが人であふれかえっとる…。つか人大杉ではあるがさよなら寝台特急さくらの時より多いんじゃなかろうか。
それでは、入場券を購入して中にGO。
そしてあかつきの姿を確認。普段はガラガラのあかつきの周囲も、今日ばかりは非常に多くの人で込み合っています。普段からずっとこんなに人がいれば、この子も廃止されることも無かったのか…いや結局関西エリアでの新快速のダイヤに影響を与えていたりすることを考えれば仕方ないのかもしれません。
報道の皆さんもそろってた、個々人的には「あー1DにLレンズだ」とか「やっぱこのカムは」とかそういった機材ばっかり見てたけど皆さん丁寧な取材されているような感じ。KTNさんがよさげなインタビューしてたので気になる、週明けに特集でもやるんじゃなかろうか。
JRの関係者の皆様も記念撮影したり。うっすらと目に涙を浮かべておられる方の多いこと多いこと…
看板を確認。マーチングバンドによる999の演奏とかいろんなイベントがあったとか。
その時アナウンスと共にあかつきの長い長い汽笛がなる。出発の時間だ!!!
わっと騒がしくなるホーム。自分もあわてて移動であります。
隅っこの方でカメラを持ち上げれば撮れそうな場所めっけ、という事でよっこいしょとカメラ持ち上げてめくら撮りであります。こんな時はバリアングル液晶のライブビューできる一眼だったらと思う事もありましたが冷静に「別に画角とか体が覚えているからいいか」という結論であったり。
そして、走り去っていくあかつき。
そして、長崎駅エリアを出る時にもう1度だけ、短く「ピッ」と汽笛を鳴らしあかつきは最後の夜に旅立っていきました。
この時、自分の近くにいた駅員さんが小さく「行ってらっしゃい、あかつき」とつぶやいてずっと遠くを見つめておられたのが印象的でした。優しそうな、寂しそうな、そして誇らしそうな表情からは駅員さんのあかつきへのどこまでも深い愛情を一瞬ではあるけど感じ取ったような気がします。
旅立っていったあかつきの余韻に包まれるホーム。「ありがとう」と駅員さんに話す人、あかつきの思い出を語り合ってる御夫妻、撮影した写真で早速原稿を書いてる通信社の方とか。自分も知り合いの某新聞局の人に出会ったり、デイリーポータルで長崎の記事書いてる斎藤さんがおられるという話だったので目で探したりとホームをウロウロしていたのですが
ふと、視界の隅に「寂しか!寂しかよ・・・」と言って泣き崩れる子供の姿が目に入りました。この子供くらいの年齢にとってはあかつきは生まれたときからすでに当然のようにあるものであり、またそんな列車が無くなるという経験はとても辛い事だったのかもしれません。
長崎からの寝台特急は身近な所では4年前に廃止された「さくら」がありましたが、さくらの片道18時間を超える運行時間と違いあかつきは片道11時間強、実際にさくらはとても現実的ではないがあかつきであれば…という事もあり比較的家族旅行などで思い出にと利用した事がある人も多いはず。この子供にとってももしかしたら、あかつきは自分が唯一乗ったブルートレインだったのかもしれません、と夢を膨らませていたら自分も家族旅行とかの記憶がよみがえって泣きそうになる。
その後はヘッドマーク撮影会に参加させて頂いたりしてました。
「カウントいきます」「5,4,3,2,1...ありがとうございました!」ってコスプレ広場でゆく見かける光景がまかかこの長崎駅で見られるとは。
長崎女子高校龍踊り部の皆さん。
そして一緒に撤収していくあかつきのヘッドマーク。ヘッドマークと一緒に自分も撤収であります。
あかつきの居なくなったホーム。昔は夜に出た寝台列車を、翌日の昼に出迎えてさくら・あかつき・かもめ・シーボルトといったさまざまな特急で賑わっていた長崎駅。しかしすでに明日からはこの駅に入ってくる特急列車は特急かもめ・そして白いかもめの2つ、いや1つだけになります。
激動の明治から昭和平成を駆け抜け 時には東京と上海を繋ぐ国際航路のルートとして栄え、戦火も経験したこの駅もこれで大きな転換点を迎えます。東京・大阪に鉄道で直接アクセスできる時代から時代は短距離・中距離鉄道の時代へ。
あかき弁当もこれがラスト。整理券の引き換え待ちが大量にありましたがこれもあとしばらく待てば購入できらしいのですが個人的にはぐっと我慢して長崎駅を立ち去りました。
次は、長崎新幹線開通の時にお会いしましょう。
そしてありがとう、寝台特急あかつき。
最後の暁に、行ってらっしゃいを。
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